こんにちは&お久しぶりでございます。勝哉エイミカです!
最近忙しさのあまりTwitterにも浮上ができない日々が続いており、他の人との交流があまり取れないな、寂しいなぁ(ホロリ なんて気持ちになりつつ、久々の読書会で雑談しまくれるので、ウキウキなう、な勝哉でございます(とか言いつつ、実は先日まで風邪をひいてもいたり……。皆さん、コロナもそうですが感性症そのものい気をつけましょうね……←風邪を悪化させて入院した事がある人)
というわけで、挨拶&近況報告もそこそこに、本題に参りましょうかね!!!!
今回の読書会の選書担当は勝哉!
選書本は、「瀬川貴次」さんの「ばけもの好む中将」シリーズ。
それではまずは、あらすじの掲載から。どうぞ!
【あらすじ(※事前公開あらすじと重複)】
時は平安。
華やかな貴族の時代であると同時に、魑魅魍魎が跋扈したとされる時代。
まだ灯りが乏しき時代、人々は夜という闇を恐れ、そこに住まう姿見えぬ怪異達に心震えあがらせていた。
中流貴族の出である「宗孝(むねたか)」もそんな都人の一人。
十二人もの姉がいる事を除けば、平凡な彼は、宮中にて『右兵衛佐』という役職についている。
十三人兄弟唯一の男児である彼は、家の跡取りとして出世や嫁をめとったりしないといけない。だがしかし、出世欲が強くあるわけでもなければ、歌や楽といった、貴族には必須の事柄が苦手なせいで女人との出会いも長続きしない。唯一の特技である舞はそうそう披露する場所もなく、結局、その日々を仕事に費やすだけの毎日を過ごしていた。
そんなある日、「御所に鬼が出た」という噂を聞いた彼は、仲間達と共に度胸試しに御所へ行くことに。
しかし、そこに居たのは怪異を愛する変人『ばけもの好む中将』こと、名門貴族の「宣能(のぶよし)」だった。
なぜだか彼に気に入られてしまった宗孝は、彼と共にあらゆる怪異の正体を追う事になってしまい……。
怪異の裏にあるのは、素性が知れぬ化け物だけにあらず!?
変人貴族に気に入られ、化け物探しをする羽目になった平凡貴族の明日はどっちだ!
新感覚、平安冒険譚!
【感想(※微ネタバレあり)】
この本は、一目ぼれの類に入る本です。
「一目ぼれ」とは、その名の通り「一目ぼれ」の出会いから始まった本です。
一目ぼれの理由は様々ですが、主な理由は「タイトル」「表紙絵」「あらすじ」の三つにあります。
文章体とかもあるんですけど、これはまず表紙とタイトルをクリアしてからじゃないと開いてみないな、ということで割愛。
「ばけもの好む中将」は、まずはじめに「タイトル」から一目ぼれしました。
簡潔的なタイトルでありながらも「ばけもの」という言葉からわかる「妖怪奇譚系」の香り、「好む」という点から感じるオカルト好きという人間としての特異点(またの名をオタクという、キャラクターが持つ変態性(おい))の雰囲気、そして「中将」という言葉から得る「歴史もの」というジャンルの認知……。そして、これら全てが一人の物語の中心となる人物の様相を指している事がわかるタイトル。
短いタイトルながらに、多く詰め込まれた情報は、完全に勝哉の心を射止めました。
勝哉、変な人が出てくる作品好きなんです(なんせおら、好きになるキャラクターが、最初まともなのにあとあと絶対変人(または最初からクズor変人)と化す、というよくわからない縁を持っているので……)。
そもそも歴史もので出て来る「ばけもの」って、基本的に好まれないじゃあないですか。
日本には古来より、悪い事は全て八百万の神々ならぬ、八百万の魑魅魍魎のせいじゃ、化け物絶許、でも化け物激怖ぶるぶる丸(ふざけすぎ)って方向性が備わってる為、歴史もので出て来る「ばけもの」って基本的には人に嫌われている事が多い。もちろん、そうではない作品もありますが、それは基本的に化け物と人とが歩みよりながら共に過ごしてるって感じで、わざわざ「好む」という言葉が使われる事はありません。
それなのにわざわざ「好む」という言葉が使われてる時点で、どんな従来とは違う物語が繰り広げられているのか――、凄くわくわくしてきませんか?
そしてタイトルの次に入り込んで来た「表紙絵」に、勝哉の心に食い込んだ一目ぼれの矢はさらに奥まで突き刺していく事となりました。
表紙絵は、夜をイメージしたと思われる色の背景に、落ち着いた金色をベースとした雲に金粉をちりばめた黒雲。可愛らしいイラスト調の松の木と共に咲くは、様嗚呼な和柄を携えた紅や薄黄の葵と思われる花々、そしてそれらとはまた別に美しいまでにリアル調に描かれた花々。
なんとも雅な美しさで溢れる表紙ですが、加え目を惹いたのが描かれているのが、四人の登場人物の姿。
花々に囲まれるように描かれた、幼い姫と女房。御簾と呼ばれるすだれ(当時は、貴族の女人というのは身内以外にはこのような御簾越しで姿を現すのが習わしでした)をあげ姿を現しています。本当ならば、御簾の中にいるべき二人なのですが、ですが御簾をあげるという事で、この作品がそこまで重たい作品ではない、もっとライトで『良い意味』で明け透けとした作品である事を告げてくれているような印象も覚えます。
そして、二人の公達。
この二人こそ、何を隠そう(隠してなくね?)、この物語の主役に位置する二人! 宗孝と宣能です!
金色の扇子を片手に優美な佇まいで立つ切れ長の目の美男な宣能に、そんな彼を守り、闇の中から姿を覗かせる化け物に対峙するように腰に佩いている太刀(太刀は腰に差すではなく、『佩(は)く』と言います! 太刀は腰に吊り下げるような形で装備されていたので、このような言いまわしをします)の柄に手を当てる宗孝。
一目で、あぁこの二人が何かしらの物語をつむいでいくんだな、とわかるテイスト。
もうこれが一番、勝哉の心にぐっさりと来ましたね……。勝哉、タッグものと冒険奇譚系に弱いんですよ……(度々Twitterで呟いてる、某都会を舞台に繰り広げられる中学生二人のゲーム制作を巡る青春冒険奇譚も、その線で堕ちてますしね。ね、弱いでしょ?)
そもそもよく考えれば、平安系なのに恋愛メインではなく『冒険奇譚』がメインというのもなんだか珍しい気がします。平安といえば、雅な貴族の時代。古来より名作であり日ノ本初の公式自費出版&無料配布を行った我らが同人業界の偉大なる先達者である紫式部だって、その中身はやはり宮中の女房感で繰り広げられる人間模様や恋愛劇が主な内容なわけで、ザ・冒険って、平安からちょっと遠い気がするんですよね。
もちろん、『ばけもの好む中将』の中にも、色恋の話題は存在します。しかしそれらはあくまでも、貴族の時代であったこの時代をよりリアルに肌で感じさせる為の、物語としての要素、といったようで、やはり一番のメインは『ばけもの』を巡る冒険にある気がします。
そこを主軸に、平安という時代の様々な人間模様が広がり繋がっていっているように感じられます。
だからでしょうか。
なんだかとても『入りやすい』のです。
冒険奇譚という、わかりやすいエンタメ性の主軸がある事で、ドロドロ愛憎劇が多そうな平安もの、というイメージも離れ、とてもすんなりと読み進めることができるのです。あくまでティーンズ向けというテイストな為か、文章もとても気軽で読みやすいものになっており、平安という歴史ものが苦手な方でも、これは入りやすいんじゃないかな、という印象です。
あまり進んで歴史ものを読もうとはしない(たまにしか読まない。読んでも、幕末や江戸辺りが多い)勝哉が言うのですから、そこはきっと間違いないですよ!笑
というわけで、いい感じにまとまったところで、ブログにての感想はここまで!
ここで話した事に加え、他にも山ほどある語りたい気持ちは、今宵行われる読書キャスに持っていきます!
もしこの感想を読んで気になった方がいましたら、ブログ公開から30分後に行われる予定の読書キャスに遊びにきてくださると嬉しいです!
それでは。
縁がありましたら、またキャスでお会いしましょう……。
勝哉エイミカ
【知絵と勝哉の週末ミッドナイト読書会キャス
第5回め】
・放送日:令和2年2月29日(土)
・放送時間:22時~22時30分
(時間に関してはひとまずの目安です。
どれくらいのキャスをやるかは、当日の流れによって変わる場合が
あるかもしれませんのでご了承ください)
・テーマ本:瀬川貴次『ばけもの好む中将』(選書担当:勝哉エイミカ)